東アフリカ1のカジノに行った日の話

今日はとうとうカジノに行った日について話そうと思う。

変わったことするは大体E三から始まる。

この日もその例に漏れる事なくEさんの提案から始まった。

どうやらケニアには東アフリカ1のカジノがあるらしい。しかもバイキングが食べ放題だそうだ。みんなで行ってみよう。とEさん。

アフリカに来るやつは大体みんな頭おかしくてふっかるなので、楽しそうということでそのとき宿に泊まっていた日本人の全員が一瞬で乗っかった。

ちなみにその日は土砂降りの日で、ケニアでタクシーに乗ったら強盗されたという話も聞いていたため、カジノに向かうタクシーの中は不安でいっぱいだったが、何事もなく到着した。

僕たちの言ったカジノはRKLカジノ。なんと5つ星ホテルの中にあるカジノだ。たとえアフリカでも5つ星ホテルは5つ星ホテル。めちゃめちゃ綺麗で荘厳だった。

中にある清潔感に溢れており、アメリカのカジノだと言われても納得してしまいそうなくらいの場所だった。

できるゲームはポーカー、ブラックジャック、ルーレットと様々なゲームがプレイできたが、事前に我々は勝てるゲームを調べてきていて、どうやらブラックジャックが一番ディーラー側がズルをすることが難しく、運の要素も少ないということで、ほぼほぼ僕たちはブラックジャックをプレイした。

賭け金は人それぞれだったが、やはり皆金のない旅人。一番高くカジノのコインに両替した人で、一万円だった。ちなみにその人とは僕である。

そんなわけで我々は遺産でブラックジャックのテーブルに座ったのだが、それがもう全く勝てない。

一応ブラックジャックのルールを知らない人のために説明しておく。少々長く続くが、これを説明しておかないと、ディーラーの凄さが伝わらないため、少々お付き合いいただきたい。

ブラックジャックとは、トランプのカードを合計で21枚に近づけるゲームである。

最初の一枚はオープンの状態で配られる。その後、伏せたカードがそれぞれ配られる。二枚目のカード以降は、ステイ(それ以上もらわない)、ヒット(もっと貰う)の二つの選択肢がある。

21以上の数を出してしまうと、バーストと言って自動的に負けてしまうため、バーストしてしまわないようにしつつ、21に近づけていくというゲーム。

ちなみに、10以降のカードは全て10として扱う。Aのみが1,11として扱われる。

戦略としては、最初に10のカードが配られた場合、基本的に配られるカードは10の可能性が高いため、10が配られたらヒットはしない。

5以上のカードである場合は、ヒットしてしまうとバーストしてしまう可能性が高いからヒットしないなどの戦略があるのだが、なぜかディーラーはこの法則に全く当てはまらない。

7が出ている状態で、ヒットをしても全くバーストしなかったりする。基本的に10が来る可能性が高いから、バーストの可能性が高いのにも関わらずである。

そんなわけで、我々は勝ったり負けたりをしていたが、結局トータルで言えば負けていた人間がほとんどであった。

 

しかしそんな中一人の勇者が現れる。慶應大学2年のk君である。

このK君。めちゃめちゃいいやつである。

カジノを始めて、大体2時間くらいが経った頃である。一人勝ち負けがトントンになっていた人とK君を除いて、我々は全員が負けに負けていた。それはもうコテンパンにである。

もっとブラックジャックがしたい。でもどうせもっと金をかけても負けてしまう。

みんながみんなそんな心理状態であった。

しかし、ここで登場するのがめちゃめちゃ人の良いK君。

俺一人でプレイするのはつまらないから、俺の勝ち分をみんなで分けてください。それでプレイしましょ。

そう言って、彼は、勝ち取ったコインをみんなに配分した。

これでもし負けてしまったら結局彼もマイナスになってしまうにも関わらず、である。

 

しかし、そこで僕たちはこの世の真理を悟った。

なぜそうなったかはよく覚えていない。だが、彼はバカ勝ちしたのである。確か自分のコインの相当数を賭けていたからだと思う。

しかしここで僕が言いたいのはそういうことではない。

やれば大体の人が負けるブラックジャックにおいて、勝ったのである。しかも相手のディーラーも19のような相当21に近い数字を出していたにも関わらず、確か20か、もしくは21、つまりブラックジャックを出して勝ったような気がする。

僕はそこで知った。

この世は無欲から人に良いことをする人の味方をするようにできているのだと。

 

その日からというもの、僕は一日一善を心がけていたが、一週間後すっかり忘れて元通りの僕に戻っていた事は余談である。